Fish & Paintings Diary

アクアリウムとアクリル画

映画「ビッグアイズ」に学ぶアーティストのための営業戦略

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有名なので知ってる人いると思うけど、このお話は、

 

主人公は実在の女性画家(存命中?)
彼女は当初、才能はあるけどシャイな無名の似顔絵描き。
離婚直後で連れ子もいました。
そんな彼女を発見したのは、自称風景画家のウォルター。
さくっと口説き落して結婚。遊び人の彼には楽勝~
そんな彼、実は営業の天才。
妻の絵を自分が描いたことにして売り込み、一躍アート界の大スターに!!

 

アメリカなので、財政を管理するのは妻である、という概念はそもそも無く。
「絵の売り上げはあたしによこしなさい」とも何とも言われず、パパが自由にヒラヒラ飛び回っている。
そして暴走。
嘘の名声に酔っているうち、なんだか壊れてくる(というかこの人もともとサイコパスなのか?)

 

自分が描いたことにするのは詐欺だし悪いんだけど、それはともかく
ウォルターの行動力と積極性がもう神業にしか見えなくて
「うわーあんな恥ずかしいことしてる」
「ひょ~すごい」
「すご――――い」
と、終始口をぽかんとあけて見入ってしまいました。

 

私は、この映画はティム・バートン監督からみんなへの
「これを見て、君らもちっとは営業がんばりたまえ~」
というメッセージとして受け取りました。

 

うん、知ってるよー・・・
「良いものを作り続ければ、いつかみんなわかってくれる」
ってそんなの結局、社交ベタな子の逃避なの。
その女性画家でさえ、彼がいなければ一生無名だった可能性が大だし。
だからあのおじさん、嘘ついてまで画家のフリなんかしなくても、
自分本来の才能で勝負してれば、営業やプロデューサーとして重宝されたろうし充分活躍できたはずなのに
すごくもったいない~!

 

というわけで、「ビッグアイズ」のウォルターから学んでみる。
アーティストのための営業戦略とは?

 


その1 「客は描いた本人に会いたがるものなんだ」

え……じゃあ即売会やイベントで売り子さん頼んじゃいけないの?ってことになっちゃうけど、
自分もイベントで好きな作家さんに会えたら嬉しかったりするので、まあ当たり前といえば当たり前かも……

 


その2 油絵本体が売れないならポスター印刷して売ればいい!

私は油絵画家ではないのであまり関係ないけど、

確かに、高価な絵なんて誰もが買えるわけじゃない。
でもポストカードは私もしょっちゅう買ってる。


大きな絵画展に行くと、売店で図版が買えるのは当たり前だけど、
無名の人こそいきなり現物を売ろうとするより、手ごろな印刷物を積極的に出すべきなのか?


ちなみに、ウォルターがそれを思いついたのは、個展やったのにぜんぜん売れなかった時。
私だったらショックで寝込むか「自分の絵が悪い」と焦って画風をコロコロ変えだすか、とにかく挙動不審になりそうなんだけど
そんな状況で、冷静に次のビジネスプランを編み出す彼の姿は神に見えた。

 


その3 時には無料で大サービス!

一見儲け主義で金に汚そうに見えるウォルターですが、決してケチではありません。
ときには有名人や話題性のある施設などに対して、無料で大作を贈呈するのも惜しまない。
彼の一番の目標はお金ではなく、「多くの人に知ってもらうこと」であり、そこは絶対にブレない。
有名になった結果お金もついてくるし、それを「万一の時のために」なんて貯め込んだりせず、社交にパーティに出歩いて大盤振る舞い。
さらに知名度と人気がアップするという好循環はもう、「はぁ~」とため息が出るくらい鮮やか。

 


その4 感動のバックストーリーを準備!

妻が描いたものを自分が描いたことにしているせいで、
いい年したオッサンが子どもの絵ばかり描いて、ついでに水着姿の幼女なんかも描いちゃってる!と、うっすら変態疑惑を持たれたウォルター。

 

急きょ「ヨーロッパを旅して貧しい子どもたちに出会ったことがきっかけ」と過去をねつ造し、得意のトークでみんなを感動させることに成功!

 

べつに「ロリコンでーす♪」と開き直っちゃってもいい気がするけど、それじゃアンダーグラウンドの人で終わってしまう。
画家が「主義と理想を持つ立派なアーティスト」という表の顔を演じ切ることで、買う側にたとえ下心があったとしても「これは有名な画家が描いたアートなんだから」と堂々と買える……
つまりウンチクもサービスの一環だった!

 

*****

 

と、私が見つけた限りではこんな感じでした。

もちろん、真似できない(&しちゃいけない)部分もいっぱいあるんだけど、
でも、


彼が行動する中で、

周囲の反応と相談し、時には失敗しながら、

めげすに試行錯誤を繰り返してゆく
その姿は、うらやましいくらい強くて
詐欺師だからって単純に貶したり笑ったりできなかった。

 

 

(前のブログからの転載です)