Fish & Paintings Diary

アクアリウムとアクリル画

「彼方からの視点」アカヒレが教えてくれたこと

地球の大気の中でしか生きられない人間のように、

魚も水中にいて、そこは空気中にいる私とは別の世界です。

言葉も届かないし、意思も通じない。

水槽は、小さな惑星みたいなもの。

底砂利が魚にとっての大地で、水は魚にとっての大気。

 

 

3匹買ったアカヒレの中で一番小さくてスリムだった子は

とても臆病で、人が見ていると絶対水面に上がってこない。

お迎えから二週間経った今も。

それがアカヒレ3号。

 

もう一匹は

ジャイアンが隔離される前ナンバー2だった子。アカヒレ2号。

ジャイアンにどつかれても、のらりくらりかわしてる感じだった。

ややふっくらしていて色もキレイ。

こいつは気性は荒くないけど臆病でもなくて

餌をまくと、ちゃんと水面に来る。

 

3号は来ない。

 

3号にも食べてほしくて

餌を入れる場所を変えたり、沈めてみたりするんだけど

3号は、餌をとるのが壊滅的に下手。

目か鼻がちょっと悪いのかな。

人影も怖がる。ちょっとした動きですぐ怯えたりパニックになったり

餌自体に集中するより、2号の存在が気になってしかたなかったり。

 

2号は度胸があって機敏で、目標を見失わない。

すぐに餌を見つけ出す。

餌以外のものや状況は、必要とあらばガン無視できる。

 

だからある日、浮いてる餌を2号がぜんぶ食べちゃった。

 

ちびの3号はべつに、いじめられてるわけじゃない。

むしろその逆。

その日 餌の一件を恨んでか、しつこく2号を追いかけまわしてた。

 

争いを好まない2号は、そのあと水草の間に入り込んで

長い間 気配を消してじっとしていた。

 

意外だけど、一番小さくて弱い子がいじめられるとは限らない。

小さくて臆病で学習能力のない3号が、穏やかな2号を攻撃する。

人間のことはいつまでも怖がるくせに

仲間同士で、しかも反撃されないとわかると

あんなにも攻撃的で執拗になる。

 


私から見て、ごはんを受け取ってほしくない子なんて一人もいない。

どれも自分がお迎えしたうちの子なんだし

魚の餌だって、あの子たちに食べてもらうために買ったんだ。

 

みんなに公平に受け取ってほしい。

いつもそう願ってるし

そうなるようにあの手この手で工夫もしてる。

 

なのに、性格や能力の差で

不公平が発生する。


豊かさやチャンスは、地球に公平に降り注いでいて

誰でも受け取っていいものなのに

 

ちょっと視点を変える、

ちょっと勇気を出す、

ちょっとスピード出して取りに行く、

それができなくて、受け取れないこともある。

 

自分が受け取るのが下手だからって、仲間を恨んで足を引っ張るような

そんな子になっちゃいけないんだと思った。

神様がいたら絶対悲しむから。

 

賢くて機敏で、富をごっそりさらっていくような子を

神様は罰したりはしない。

その子も「ほしい」「食べたい」という本能でそうしてるだけだと知っているから。

それに、その子のことだってやっぱり大切でかわいいから。

 

でも、臆病な子や、受け取るが下手な子にだって

いつも、あげたいあげたいと思ってるんじゃないかな。

 

あの手この手で

「ほら、こっちだよ。気付いて」

「おまえも受け取りなさい」

って、話しかけてるかもしれないのに。

 

 

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