Fish & Paintings Diary

アクアリウムとアクリル画

怪奇現象「牛にどつかれた助平おじさん」

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イラストbyありしゅ

 

 

最近、有名人が自分でYou-tubeに出て

不倫の話をしたりして話題になったので思い出した。

 

この話は、私にとっては大きなミステリーです。

なぜなら近い親戚ではないものの

私は登場人物と面識があり 屋敷も見たことがあるからです。

 

才能がないので怖く書ける自信はないが

とにかく不思議だった話。

 

田舎のおじさん(Aさんとします)

の家は広くて、母屋の他に別棟や蔵がありました。

壁が白くて黒っぽい瓦屋根で けっこう立派な蔵だった。

 

Aさんが子どもの頃、この蔵で遊んでいると

隅の方からカタ・・・カタ・・・と音がします。

音のする場所を突き止めてみると

重箱のような立派な漆の箱があって、

その箱がひとりでに小さくカタカタ動いていたそうです。

 

古い乾物でも入っていて、そこにネズミかなにか入り込んだのかな?

と思ったが、箱は紐で何重にも縛られており

ネズミが入りそうな穴も隙間もどこにもなかったそうです。

 

とにかく箱を開けて見ようと、

外の明るい場所に出て、紐をほどこうと奮闘していると

そこへB子さんが血相を変えてとんできました。

 

B子さんというのは、Aさんの祖父の後妻の連れ子で

直接血のつながりはないが、一応Aさんの叔母に当たる人。

このとき夫に先立たれて独身になり

出戻りした形で敷地内の別棟に住んでいました。

 

普段は決して感情を表に出さない無口な女性だったが

そのときは様子が違った。

Aさんから箱を取り上げ、

「この箱はいつか自分と同じ境遇の女の人に譲る」

「決して男子が中を開けて見てはいけない」と厳しく言い聞かせて

再びどこかへ隠してしまったそうです。

 

それから月日が経って、B子さんも高齢になり他界。

大人になったAさん夫婦がB子さんの荷物を整理していると

またあの箱を発見したので、今度こそ紐を切って開けて見ました。

 

そこにはB子さんの結婚当時の日記帳が入っていただけで、

食べ物などはなく、ネズミが入った形跡もない

なぜあのときカタカタしていたのかは結局謎のままでした。

 

ただ日記帳には、B子さんの夫が複数の女性と不倫関係にあったこと

娘の病気のこと(この娘はその後幼くして他界)

自分が寝ずに看病している夜も、彼は女性に逢いに行って遊んでいる

それに対する怒りの言葉などが書かれていたそうです。

 

箱の中には他に、読めない言葉と人を取り囲む円のような、

不気味な図形が描かれたお札のような紙が何枚も入っていました。

日記にも「〇月〇日、〇〇さんに〇円を支払った」「K町へ行った」という記録がたびたびあり

どうやらB子さんは、娘の死後、自宅から遠く離れたK町まで何度も足を運んで

懇意にしている占い師か祈祷師のような女性と会っていた。

お札はその女性から手に入れたものらしいのです。

 

何度も訪ねて行ったのは、お札の効果を期待していたのに

それが「なかなか効かない」「また頼みに行こう」などと書かれている。

 

何を願ったのか、具体的な言葉はなかったが

B子さんをよく知るAさんは、

「これは夫への呪いの儀式だ」と直感したそうです。

 

B子さんの夫ですが、この男性はある日、知人の家に出かけたら

その家で飼われていた種牛がちょうど発情期で大暴走していたので

みんなと一緒に止めようとしていたところ、牛にどつき倒されて亡くなりました。

 

これは私が生まれる前の出来事ですが、話にはきいたことがあり

子どもだから「牛さんといえば牛乳」「ビーフシチューおいしいね♪」くらいの認識しかなかったので、ものすごくビックリしました。

 

そしてその事故は、偶然か何かわかりませんが

日記と照合するとB子さんが祈祷師のもとに通い始めてから半年後くらいだったというのです。

 

そんなわけでB子さんの夫

最後は発情した雄牛に襲われ 角で突かれて散りましたが

自らも欲情のままに生きた人生だったので

牛さんのことも許してあげたのかな?と思います。

 

B子さんは前述のとおり、実家に戻り別棟で生活

その後再婚はしなかったが、畑などを手伝う傍ら

幼なじみで同じく独身になっていた男性と再会して交際

頻繁に行き来して、それなりにリア充な中年時代を過ごしたようです。

 

そんなことなら、早く別れて自分の人生を楽しめばよかった

それか自分も旦那をほったらかして自由に遊んでしまえばよかったのに

と思うのですが

 

夫が浮気しているからといって

「だったらあたしだって他の男と好きに遊ばせてもらうからね」

などというのは最近の女の子の考えで 

一昔前の女性にとって、そんな発想はありえなかった

と田舎のおじさんおばさんは言うのです。

 

問題の箱は B子さんが「女性になら譲る」と言ったということなので

生前、誰かが頼んだら譲ってくれたのだろうか?

そのお札があったら見たかったのですが

Aさんが家族と相談した結果、箱ごとお寺に持って行って供養してもらったとのこと。

お札もそのとき寺で処分されたようです。

 

 

イラスト・挿絵

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