Fish & Paintings Diary

アクアリウムとアクリル画

撮る?撮らせる?「爺インザバス」

若者から中年まで べつに芸能人でもないのに

SNSでしょっちゅう自撮りを上げている人たちは

「自分が楽しければどう思われてもかまわない」という気持ちで

他人の目線から完全に自由で、

好き勝手なことをしているのかというと、

決してそういうわけではないと思う

ふとしたことから

あの人たちはぜんぜん自由なんかじゃない

と感じることも多いわけですが。

 

 

家族と親戚の人たちと、あるドキュメンタリー映画を見ていた時のことです。

 

それは、とある(知る人ぞ知る?)文化的な分野の著名人の男性の晩年の生活を取材したもので、

その方はもう亡くなっていますが、取材当時は80代くらいかな。

 

その男性が入浴しているシーンが冒頭で突然ポンと出てきたんですね。

 

ご自宅か温泉地か何かわかりませんが、とても明るい場所で、かなり鮮明な映像。

もちろん腰タオルはしていましたが、それ以外はすっぱだか。

お湯につかった状態から映像が始まるんじゃなくて、その前から始まるんですよね。

つまり、えーと(;゚Д゚)

 

裸体爺

 

爺・イン・ザ・BATH

 

お風呂場におじいさん Σ( ̄□ ̄|||)


なぜ撮影許可したかはわかりません。

ファンもそれなりのお年の方が多そうなので、

「私は偉人でも賢人でもありません、あなたがたと同じただの年寄りですよ♪」と伝え

みんなをはげます意味で、あえて不完全で無防備な自分を見せたのかもしれないし。

 

いつも綺麗にメイクしてお洒落している人気の女性ブロガーが

あえて小汚いすっぴん見せちゃうことがありますが、あれもそういう励ましの意味だし・・・

ダイエットブロガーがあえて太ったビキニ姿を見せちゃうこともあるわけだし・・・

 

どのような意図で撮影されたのかは不明ですが、とにかく

私はその爺・イン・ザ・BATHを見て

まず単純に


汚い

醜い


と思いました。


残酷だけど、それが率直な感想。

 

だって著名人と言ってもタレント業の方ではないですし、

年とっても毎日欠かさず筋トレしてスキンケアも完璧です!とか、

そういう人ではまったくないですからね。

当然、重力に負けて完敗ですし

ラ〇ザップのCMのビフォア映像よりはるかに悲惨です。

 

ただ私が驚いたのは「この人、断らなかったんだ・・・」ということです。

 

もしかして

もしかしたら

監督さんにも出演された本人にも、

「このような見苦しいものは人様にお見せするわけにいきませんから」とか

「こんな爺の裸は誰も見たくないでしょうから・・・」とか

「いやそんなはしたないことは、いやあの」とか

そのような意識が、まったく存在しなかったのかもしれない

 

という事実に衝撃を受けるわけです。

 

当人にとっても撮影クルーにとっても、そこにいるのはただ一人の「男」であり

ちょっと年食った「男」であり

 

それ以上でも以下でもない、マジでそれだけ

 

「女じゃあるめえし、べつにどうだっていいじゃん」みたいな。

 

つまり「男は美しくあるべき」とか

「男の裸はセクシーなものであるべき」とか

そのような概念がまったくないからこそ

相対的に「醜い」「汚い」という感覚も、生じない

 

誰かがそのような感想を持つことを一切想定しない

 

見られること、評価されることから完全に自由だから

「恥ずかしい」も、ない。

 

愛でられもしない

必要以上に祭り上げられもしないし

評価もされない

 

Forbiddenな感覚が、そこにはない。

 

だってもともと注目すべきものではないから・・・

 

それはそれで戦慄せざるを得ないので、私としては最初に言ったように

「あえて不完全な自分も見せてみんなをはげますため」だったと思いたい

 

そうでも解釈しないと立ち直れない

そのあまりの自由さや、鈍感さのようなものが何か怖い

うまく言えないけど・・・

 

ところで、一緒にその映像を見ていたはずの家族に、「どう思った?」ときいたのですが

なんと全員、入浴シーンがあったことすら覚えていないか

「そういえばそんなのあったかね」程度の反応でした。

 

OH~マイガッ(@ ̄□ ̄@;)!!!

 

せっかく脱いだのに、華麗にスルーされ一瞬で忘れ去られる爺の裸!!


男だからか?男だからなのか??

 

いや婆も似たようなものか??

 

じゃあもし、これがお婆さんだったらどうか。

 

まずたいていの女性は、自分の入浴シーンの撮影を承諾しないと思うんですよね。

 

その前に、監督さんも提案しないでしょう。

 

ターシャ・チューダーもドキュメンタリーDVDで相当稼いだみたいですが

そんなシーンないですよね多分。全部見たわけじゃないのでわかりませんが。

 

オノ・ヨーコあたりならサクッと許可しちゃいそうですけどね。

 

で、もし仮に、文化的な意味での著名人で、

女優でもなく努力して美貌を保っているわけでもないフツーの80代のお婆さんで

豪胆な性格の女性がいたとして。

監督や撮影スタッフもほとんどが女性で構成されていて。

 

本人も

「年食ってようが何だろうが、私はずっとこの身体で生きてきた。

これが私なんだから恥じることなんか何ひとつありません。

ありのままの私を、全世界のみなさんに見ていただこうじゃないの!」

みたいな勢いで、すっぱだかでお風呂に入るところを映像で見せつけたら

 

本人がそのようなつもりでしたことでも、はたして周囲がそう受け取ってくれるのかな?と。

「あんなシーン本当に必要だったのか」とならないか?

 

もし広い年齢層に認知されている著名人なら、

さっそく匿名掲示板やツイッターで書かれるかもしれません

「BBAキモい」「汚い」「シワシワ」「見たくない」「なんで見せたの?」「欲求不満?」「自己顕示欲の塊」「露出趣味のBBAw」

 

もちろん擁護するファンも現れます

「彼女はメディアに作られた架空の女性像に対して疑問を投げかけるため

老いや肉体の変化は自然で当たり前のことだと示して女性たちを励まそうとしただけです!」

「女だからってすぐ性的な目で見る人たち最低ですね。性欲の対象である前に一人の人間です。綺麗とか汚いとか他人に言われる筋合いありません!」

 

とかいう具合に、ひと悶着なりませんかね・・・?

 

ならないなら、ならないで良いのですが。

 

ちなみに私、年寄りは脱ぐな!とか、そんなことが言いたいわけではありません。

 

お婆さんが、自身の生涯を綴ったドキュメンタリー映像の中で

何のてらいも恥じらいもなく、堂々と自由にすっぱだかになれる世界

 

見た方も一瞬後には忘れてしまう

 

一部の、たまたま絵描きやってるとか何か、美を扱う立場の人間がギョッとするだけで

それ以外の人は何も言わないし醜いともはしたないとも何とも思わない

 

つまり

「女性が、自分は美しいかどうかを、問いかける必要がまったくない世界」

 

そんな世界があったら

それはどのようなものなのだろう

 

そんなことを考えると、なんとも不思議な気分になるのです。

 

 

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