Fish & Paintings Diary

アクアリウムとアクリル画

怪奇現象「人面蛇」

知人Aさんから聞いた話を書き留めておきます。

 

 

一家が川崎市に住んでいた頃

当時中学生だったAが学校から帰って家にいると、母が

「もうすぐ夕飯だからBを連れ戻してくれ」と言ってきた。

 

Aの弟Bはそのとき小学校4年生くらい。

外に遊びに行っていた。

 

Aは「面倒だなあ」と思いながらも自転車に乗り

近所の公園など、Bがいそうな場所を回った。

 

白い工事用パネルで囲われた空き地の前に何台かの自転車が止めてあって

そのうち一つがBのものだった。

 

そこはある会社の所有地で、工事用の機材や廃材置き場のようになっていたが

出入口はちょっと鎖をしてあるだけで簡単に入れたので

弟たちがたまに勝手に入り込んでいるのは知っていた。

Aも自転車を置いて囲いの中に入った。

 

すると、弟BとBの友人C、Dの男子3人が

なぜか古い車体の陰にかたまって

互いにくっつきあい小さくなってブルブル震えていた。

 

「帰ろう」と言っても、3人とも異常に怯えていて動かない。

 

様子がおかしいので、急いで母親に知らせる。

 

母がやってきて、やはり尋常ではないということで警察に通報

CとDの家にも連絡

 

パトカーと、CとDの家の人たちが次々と到着

そこであらためて「何があったのか話してごらん」と促すが

3人とも異常に怯えるばかりでほとんど口もきかない

 

べつに怪我もしていないし、何かされたわけでもないようなのだが

真っ青になって目だけキョロキョロして

何をきかれても上の空である

 

らちが明かないので、警察は周辺を見回ってから帰ることになり

子どもたちはそれぞれ家族に連れられて家に帰った。

 

Aも家に戻って夕食。その後父が帰宅

Bも落ち着いてきていたので、父を交えて再び話を聞き出そうとしたが

そのときのBの話は荒唐無稽で

 

敷地の中で遊んでいると

頭がお爺さんで、胴体がものすごく長い巨大な蛇のような生き物が

もう一人のおじさん(こちらは人間だった模様)を丸のみにして食べていた。

その生き物は目が悪いらしかったが、動くと見つかってしまうので隠れていた

という。

 

両親は、Bが何かを隠すために作り話をしていると思ったらしく

「ふざけている場合じゃない」「ちゃんと本当のことを話しなさい」

と問い詰めたが、Bは「本当だもん」と言い張って癇癪を起し

怖い怖いとぐずって、寝る時も親の部屋で寝るなどしていた。

 

後日、母はCとDの親とも連絡を取り合っていたが

Cは最後まで何も語らず

Dの母は「うちも聞き出そうとしたんですが、なんだか、蛇がどうとか言っていてよくわからなくて」と言っていたらしい。

 

例の敷地は、警察から会社に連絡が行ったのか

しばらくすると出入口が塞がれて部外者が簡単に入れないようになっていた。

 

1か月くらい過ぎたある日、Aが公園の前を通りかかると

そこでBと、あの時一緒にいたDが二人で遊んでいるのを見かけた。

例の件が気になっていたAは、二人にジュースを買い与え

「あの時本当は何があったの?お母さんにも誰にも絶対言わないから、おねえちゃんにだけ話して」

などと説得して喋らせようとしたが

 

BもDもきょとんとして「何のことだかわからない」という反応。

なんと、二人はあの日のことを忘れてしまっていた。

あれだけ大騒ぎしたというのに、どういうことか。

最初は口裏を合わせて嘘をついているのかと思ったが、どうやら本当に記憶がなくなってしまったらしい。

驚いて母に話すと「かわいそうだから、もうそっとしといてあげなさい」と言われる。

 

母によると、3人の少年のうちCは、学校こそやめなかったが

あの日以来家に引きこもりがちになってしまったそうで

「Cだけは記憶があるのでは」と思ったが

Cとは会う機会もなく

「けっきょく真相はわからない」とのことでした。

 

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