怪奇現象「婚活は息子(仮)に一任したよ♪」
また思い出したので書き留めておきます。
これは飲み会で友達の先輩から聞いた話。
一人暮らしのAさんの体験です。
会社員Aさんのアパートは、
玄関を入ってすぐキッチン、
その向こうに畳の部屋がありました。
ある休日、Aさんがこの畳の部屋で昼寝していると
冷たい風がどこからともなく吹き込んでくる感じがして
寒くなって目が覚めました。
「あれ、窓開けてたかな」と思ったが
見ると開いていないし
一応毛布もかけていたそうです。
しかし部屋の中が何かおかしい。
寝ぼけまなこで見まわすと
黒い人影のようなものが部屋のあちこちに蠢いている。
その影は漆黒ではなく背後が透けて見えるくらい薄くて
シルエットからどれも子どものように見えた。
それぞれが立ったりしゃがんだり駆け回ったり、
ばらばらに動き回っているのだそうです。
とくに金縛りなどはなく、はっきり目覚めてはいるが
「まだ起き上がるのめんどくさいな」程度の感じ。
そのうち影の一つがすぐ間近にせまってきたので
「うわー近い近い」と思いつつ横たわったまま見ていると
あいからず影なのですが、うっすらと髪型や顔の輪郭などがわかり
幼い男の子のようでした。
ただその子には目が無くて、
真っ暗な二つの穴のようになっていたそうです。
イラストbyありしゅ
Aさんは、たまに不思議なものが見えることはあったが
「自分を脅かすほどのものにはまだ出会ったことがない」
という、ちょっと豪快な感じの女性。
そのときも、あわてず怯えず
男の子に向かって「何か用?」ときいたそうです。
すると男の子は、かすかな声で
「ぼくのことを産んでくれる?」
と言っている。
その霊は、どうやらAさんが妊娠するのを待って
Aさんの子を器として宿り、現世に戻りたいらしいのです。
しかしAさんは独身
付き合っていた彼氏とも別れたばかりだったそうです。
「だったらさぁー、あんたまず『お父さん』を連れてきてよ!」
と若干キレ気味で指示。
「あんたの『未来のお父さん』を探し出して、私を好きになるようにしむけて!あ、どうせならいい男をお願いね」と、相手について2~3の注文をつけた後
「なるべく早くしてね!私だっていつまでも若くないんだからね!?」
と、念を押しました。
男の子は「わかった・・・」と言い残し
玄関からスーッと出て行く。
それと同時に、部屋の中にいた他の影たちも消えていました。
ちなみに、玄関のドアを通り抜けたということなので
だったら壁から出てもなんでもいいんじゃないかと思うのですが
なぜか「きちんと玄関から帰った」ということでした。
さらにその出来事の後も同じ部屋に住み続け、
「あれから何年もたつけど、あの子まだ戻ってこないの。父を探しに行ったきり帰ってこないのよ~」
と豪快に笑うAさんでした。
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